福岡国際マラソン2019後編

競技場は3周する
福岡国際の特徴はSTARTの競技場が長い
競技場ではお祭りモードで1キロ3分12とかで入ってしまうがいつもの事である。できるだけ前に居ておきたいのはBの大濠公園から入ってくる集団が平和台を出たところで合流するのだがそこで遅い位置にいると合併して接触が危ない
競技場でて3キロまでにペースを3分27くらいで落ち着ける
今年はノモトさんとチームパナの先頭横並び集団で進む
先日の投稿の通り
ユニフォームにはシールがはられてしまった
競技場START時点でテレビに写るロゴ名が大きかったら駄目なのでそれが理由だが会社の名義でユニフォーム作ってるし
シールは流石にないと思い
3キロくらいで「ノモトさんシール剥がしていいと思います?」
いいんじゃない?!もうテレビ関係ないでしょ
ですよねーー!!と思い切り剥がした結果

ロゴも思い切りもってかれたやないかー!
しかし
私はチーム名を世間にひけらかす為にこの大会に参加しているわけでは無いので、
特に気にする必要もなかった。
レース前半は知り合いが多く忙しいです
5キロ地点は母校の陸上競の先生がスペシャル提供してくれます
でも審判だからガッツポーズに私は敬礼を返します
社交的な嫁と仲の良い先生
社交性に関しては私を妻と真逆に生んだというか
朝倉の大地が社交性を妻にだけあつめ
残りの絞り採ったカスが私と言う訳です
今回のスペシャルは細工をしました
娘をコメント付きで載せるという細工です

娘はもちろん可愛いというのはあるのですが
こんな細工してるスペシャルは係員のこや他の選手にむげにされないだろう、という狙いもあります
要は取られずに上手く飲めれば良いのです
7キロ地点では妹が応援しています
家が近いのでそのまま道にでるという感じです
先頭を3分27くらいで上手く引きつづけ
室見の折り返し
相変わらず先頭は私とノモトさんが並び
その後ろに20人以上の豪勢な集団ができる
集団戦のメリットはメインとしてスリップストリームを取れること
前の人間を風よけに進めば体感的にも㌔10秒は楽に感じます
ですが今回はあえて前衛で引き続けます
もう損得ではなくただのポリシーとしてのプライドです
10キロ過ぎ
タニグチさんと少しおしゃべり
47歳の二人目の最高齢Aの彼も凄いです

15㌔
ここに今回のエイドの重点にしている
ゼリーをおいてあるのだが、西練のキャプの親友がBなので共有しています。集団についてきてるはずだが音沙汰がない。。。。
うん
仕方ない
しっかりとひいていますが
後退して状況を確認にいきます
キャプこの集団にいない!
結論としては故障していたみたい
大いなる労力を疲労したがまぁ良い
仲間のスペシャルは道にすてた
大先輩のノモトさんも故障でこの渡り鳥の集団から離れていってしまった・・・
仲間はいなくなってしまったが
私は、仲間と走れる事を誇示しにここまできた訳でもやはりなかった
21キロ地点
重要なコーラ取得ポイントなのだが
スペシャルがない!
誰か先行する人が間違えたみたいだ
あんな緑の塊の俺の娘のエイド間違えるか?!
と思いながら仕方ないとへこんでますと
集団の他の仲間がモルテンっぽい液体を飲ませてくれました
スペシャルも仲間で共有する
このゲームは出来るだけ速いタイムで走り切りことが目的なので
集団が崩れるより仲間がたくさん生き残っている方が得だ
博多駅も超えて25キロ
ノモトさんやタニグチさんベテラン勢は故障などで抜けていき
集団は少し減ったがそれでも20人くらいはいる
その集団を私は黙々と引き続けていた
25キロを超えたが、私の脚はいっこうに元気だった
箱崎宮に手を合わせる
必ず元気でここに帰ってくる
そういう決意で1年過ごして来た
前を向いてかけ続ける
タイムも狙えない
ユニフォームには何もない
集団に居るはずの仲間はいない
それでも、このフルの中盤で
私が得れたのは快楽だった
マグロが老人の船を引きずるように
ここまで引き続けた
私は故障に抗い
そして故障に勝利していた
自然老化しているはずの肉体は
若い人間の群れをひく松明として機能している
28キロ
集団は前方にいる集団すらも捉えようとしていた
マグロが引きずる集団の群れは勢いが増すばかりだった
香椎宮
真後ろへの折り返しを迎える
その時
折り返しの一瞬の躊躇と
膝の故障へのためらいで
折り返しを大外に周り
集団の後方にのけぞる
最早集団は私を必要としていなく勢いづいていた
私が育てた?
いや
それは間違い
私はただ自己啓示したく一人であがいてただけだった
レースの時
疲れや疲労が
段々と急に
まるでガソリン切れるように襲ってくることなど無かった
いつでもついて行けるという自信があるのに
前について行けなくなった
自分の中でレッドアラートなんかなっていやしなかった。
まだ走れる
10m空いた前への少しの差が埋まらない
私の集団は前方にいた集団を丸呑みにして
いよいよ勢いづいていた
その集団によく一緒に走り続けたしりあいがいた
フジワラやセオさんや
トヨナガさんや、ヒガシさんや
福岡国際の折返しは全てを左右するレースのタイムを決定する肝になる
ここで如何にして粘るか
粘るかを考えるが
今までの私はすぐ喘ぐことに逃げていた
陸上競技は如何に高速で持続可能な身体をコントロールし続けるかの競技であり、身体を崩していいのは競技場でバックストレートを超えてからであった
この時点で前方の集団に追いつけないことが
タイムを競う上で最も重要なことぐらい
75回のフルマラソンと13回の福岡国際と
2019年の私にはどれだけでもわかっていた。
ベストタイムが出ない。
タイム?
果たしてベストを更新しに福岡国際に私は来たのか?
それでもやはりなかった。
もう出せないくらい故障がまずかったことぐらいとっくにわかっていた。
チーム名をユニフォームで誇示しにここに来たわけでも
いつも競技場で走っている仲間と走るためここに来たのでも
ましてやベスト記録を更新するためにここに来たわけでもなかった。
(選手として人間としての無価値はもうすでに自覚していた。
競技場やレース路上では活き活きとしている私も
平日の仕事中は生活をするためにどんなことを客に言われようとも
遅くまで残業しようともなめとこ山の小十郎のようにへりくだって回るしかない惨めな人生だった。
こいつは朝も夜も走ってばっかりなんだ。オリンピックはでるんですか?
ホノルルマラソンには出るんですか?猫よりも早く走れるんですか?
何が楽しくて何時間も走っているんですか?マラソンにでるんで早くなる方法を教えて欲しい)
そんなことはすべて雑踏だ。ノイズだった。
日頃の軽薄極まりない質問の数々の誰一人として
興味本位で話しかけてくる人間すべては
私のこの感情なんか
理解はできなかった。
できるはずがなかった。
極限の深海の奥底に自ら潜った仲間を追いかけて
どこまでもどこまでも深く潜った。
もう気色悪い深海の生物になってしまった私の事なんかは。
豪華で美しくて
楽しくて気持ちよくて楽でおいしくてうれしいものなんかは
この世の快楽なんかは一切いらなかった。
酒ももう俺にはいらなかった。
この日に全力を尽くせれば充分だった。
非才の人間が好きだけで続ける
あの前にいる
俺が一緒に戦ってきた集団の連中は間違いなく
俺をわかってくれていた
福岡国際の声援と
福岡国際の熱さと
福岡の街の美しさを。
この日があれば十分だった
あとはそこにたどり着き追いつくことだった
なぜ福岡国際に何度も走っていたかが分からなかったが。。。
分かってくれる人間に会いに行きたかった。
何としても追いつきたい。
そのまま
前方に集団が見える位置で天神北に差し掛かるが
38キロの天神への折り返しで前は見えなくなってしまった
41キロ九州製氷の門をくぐって
最後の道を抜け
平和台に入るころ
もうろうとする意識の中でフジノさんの
ゴール近くが見えた。
2時間25分くらいで入るので
私は2時間27分を切るか切らないかのタイム
競技場からはまた応援が聞こえた
もう13年間応援してくれる大学の後輩とコーチと
高校の先生と
最後の1周であと86″2時間27′切れないが
もう余裕はなく。
死力を尽くしてゴールはヘッドスライディングで27′を切ったつもりだが
電光掲示板の表示は2″遅れるはずである。
あと一歩
福岡国際のA標準には2″及ばずで2時間27′01″
順位はちょうど100位だった。
今年も毎日全力で生きてきて本当によかった
走れる喜びを全力で表現できた2時間半が今年も終わって364日がまた始まった。

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